INTERVIEW

No.13

SAWAMURA(株式会社澤村・沢村ホーム株式会社)KOICHIRO SAWAMURA

一人ひとりがありたい姿を描き、これまでの延長線上にはない変化を。

会社概要
SAWAMURA(株式会社澤村・沢村ホーム株式会社)
代表取締役 澤村 幸一郎
滋賀県高島市勝野1108-3
TEL 0740-36-0130
株式会社澤村は、滋賀県高島市に本社を置く、1950年創業の総合建設会社です。「きっかけを創造する」をミッションに掲げ、住まいやオフィス、そして公共空間までを豊かにするきっかけを創造し、未来につながる新しい価値の実現に取り組んでいます。
https://www.sawamura-shiga.co.jp/
代表取締役 澤村さんの経歴

大学卒業後、四国地方の中堅ゼネコンに就職するも、先代の父親が大病を患ったため、2007年に25歳の若さでSAWAMURAの3代目社長に就任する。創業70年の伝統と信頼を継承しつつ、新しい文化、次の時代に応えられる組織づくりを推進中。

今回は、プロジェクトを担当したブランド推進室の和田山さんとともにお話を伺いました。

ブランディングを始める以前の状況をお聞かせください。
澤村:ユニィディオさんに依頼する前、別のコンサルティング会社にブランディングの相談をしていました。当時私たちが検討していたのは、商品のブランディングです。SAWAMURAは滋賀県の高島市において70年以上の歴史を誇りますが、市外における知名度はさほど高くありません。そこで、キャッチーでわかりやすい商品を用意し、商圏の拡大を図ることにしたのです。その商品とは、無垢のフローリングと漆喰の壁が特徴の自然素材の住宅でした。あえて澤村の名前は出さず、おしゃれな響きの屋号を掲げ、コンサルティング会社が用意したテンプレート通りのホームページとチラシを作成。しかし、お客様の来場はまったくありませんでした。よくよく考えてみると、その商品は高単価で、地域のターゲット層にはマッチしないものだったのです。キャッチーでわかりやすいという理由だけでそれを選んだのは、大きな間違いでした。そして、私が悩みに悩んで出した結論は、商品ではなく事業そのもののブランディングを行う、ということでした。
その頃に感じていた課題感、ユニィディオとの出会いは?
和田山:私が入社したのは、ちょうど代表の澤村がブランディングについて試行錯誤している時期でした。当社は、個人のお客様向けに注文住宅の設計・施工やリフォームの提案、法人のお客様向けに工場・オフィスの新築・改修や土木工事など、さまざまな事業を展開しています。また、注文住宅事業においては、自社オリジナルのSAWAMURA建築設計とアイフルホームを扱うSAWAMURA Home、ふたつのブランドが共存しています。それらを整理し、双方の事業の強みを明確に打ち出す必要がありました。事業の強みについて社員にヒアリングしても、返ってくる答えはばらばら。しかも、共通の認識がないということを、皆が認識している。これはあまりよくない状況だなと、私は感じました。

澤村:確かに、多様性こそが自分たちの力だと、多くの社員が思っている節はあります。しかし、次のステージに進むためには、これまでの意識を変え、SAWAMURAとしてひとつにまとまっていかなければなりません。実は最初にユニィディオさんに依頼したのはモデルハウスの集客支援だったんですが、打ち合わせを重ねるなかで、ぜひ事業のブランディングを手伝ってほしい、という話になりました。
ユニィディオとどのようにプロジェクトを進めていきましたか?
澤村:SAWAMURA建築設計は、お客様一人ひとりに寄り添い、ゆたかな暮らしを形にする本格的な注文建築を行っています。一方のSAWAMURA Homeは、高性能・高品質・高コストパフォーマンスが特徴となる、ハウスメーカーのフランチャイズ事業です。価格差があり、詳しく説明すればお客様にも理解してもらえるものの、自社内で競合してしまうケースも。高島市内における当社のシェア率が高かったため、カニバリゼーションについてはあまり問題視されていませんでしたが、他のエリアで勝負をしようとなると、話は変わります。まずは、それぞれの強みの整理とペルソナの設定を行うことになりました。
これまでユニィディオと進めてきたプロジェクトの中で、特に印象深かったことは?
和田山:モデルハウスに来場されるお客様は20代の方もいれば、60代の方もいます。だからといって「20〜60代の家族」といった大雑把なくくり方をしてしまっては、ペルソナの意味がまったくありません。ユニィディオさんのワークショップを通して多くの社員が、「自分たちの魅力をもっとも理解してくれるお客様」について考える機会を持ちました。結果として、SAWAMURA建築設計とSAWAMURA Homeで、しっかり別々のペルソナを設定できたのはよかったと思います。

澤村:今回のブランディングに関して、トップダウンの形になってしまうのは、ある程度仕方ないと考えていました。ただ、プロジェクトを通じて導かれたコンセプトのメッセージ(SAWAMURA建築設計「For loved ones. 大切な人のための、家づくり。」/SAWAMURA Home「Welcome, MY HOME! “ワクワク”に寄り添う家づくりを。」)については、腑に落ちていたようです。特にSAWAMURA Homeのほうは、これまでどうしてもハウスメーカーのフランチャイズという側面が強かったのですが、ようやくSAWAMURA Homeとしての自我が芽生えはじめました。事業の特徴をうまく言語化してもらったことで、社員の意識も変化し、本当によかったと感じています。
ユニィディオとのプロジェクトを通してどんな変化がありましたか?
澤村:もともと私は、法人のお客様向けの事業を主に担当してきたので、個人のお客様向けの注文住宅事業に関しては、着工棟数の目標や広告費の予算を決めることくらいしかやっていませんでした。ただ、ブランディングにおいては、社長である私がどっぷり入らざるを得ません。必然的に住宅部門の担当者とも密にコミュニケーションをとるようになり、その点は私のなかで起こったいい変化です。

和田山:特に若手社員の変化は顕著でした。たとえば、お客様に対して「SWAMURA建築設計の強みは、アイデアの引き出しの多さです」といったメッセージを発信するとなると、知識や経験の少ない1年目の社員たちは、当然のことながら不安です。でも、そこでくじけることなく、先輩に質問しながら自分ひとりでプランニングをしたり、同期で集まって夜遅くまで建築士試験の勉強をしたり、全員がなんとかしようとしている。きっと明確なビジョンがあるから、前を向けるんだろうと思います。そして、想像力が追いついてきたときに、「こんなことをやってみたい」という希望が出てくるのだと感じました。
さらにこれから期待することは?
澤村:SAWAMURA建築設計としては、設計力と提案力を向上させること。SAWAMURA Homeとしては、フランチャイズであるアイフルホームの良さに加え、自社独自の強みを訴えていくことを考えています。そのためにも、若手社員はもちろん、中堅・ベテラン社員にも、自分の殻を破ってどんどんチャレンジしてほしいですね。結局ブランディングって、今ある姿ではなく、近い将来のありたい姿を見せるものなので、私としては、背伸びをしてギリギリ手が届くか届かないかのラインに目標を設定しました。社員一人ひとりが、これまでの延長線上にはない変化を遂げてくれることを期待しています。
最後に、これまでを振り返っての感想と、今後の展望をお聞かせください。
澤村:ブランディングを行うにあたって、自分たちのやっていることを否定されるんじゃないかと、不安を持った社員は多かったと思います。ただ、結局は自分たちのやっていることが表現できていないだけで、それが本質的な問題なんですよね。やっていることは、ちゃんとお客様に見せないといけない。その「見える化」のためにブランディングがあると、今回気づかせてもらいました。

和田山:ユニィディオさんは住宅業界に特化しているということもあって、建築の知識や同業他社に関する情報が豊富で、とても頼りがいがありました。自分たちが今なにをすべきなのか、考える指標を提示してもらった気がします。また、ブランディングのほかには、SAWAMURA建築設計とSAWAMURA Homeのホームページを作成いただきましたが、時間をかけ細部までこだわってつくったので、私としては納得のいく仕上がりになりました。

澤村:当初は商品のブランディングしか頭にありませんでしたが、ユニィディオさんのおかげで、事業のブランディングが成功すれば商品での集客もより効果的になる、ということがわかりました。また、事業のブランディングがSAWAMURAとしてのブランディングにもつながり、このご時世でも優秀な人材を数多く獲得することができています。今後は人材育成を強化しながら会社の基盤を整え、一度は大きな挫折を味わった商圏の拡大にも力を入れていきたいと考えています。

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