2023.07.04/Tue
話題のアンバサダーマーケティングのメリットとは?成功事例から解説
SNSを活用した「アンバサダーマーケティング」という広告手法をご存じですか。
例えば、Instagramのハッシュタグ機能を使って「#アンバサダー募集」と検索してみてください。
業種や企業規模を問わず、あらゆる企業がアンバサダーマーケティングをおこなっていることが分かるでしょう。
この記事では、なぜ多くの企業がアンバサダーマーケティングを始めているのかが分かるよう、そのメリットや、成功した企業の事例について解説しています。
企業のSNS活用術のひとつとして、検討する価値がありますよ。
アンバサダーマーケティングとは
はじめに、アンバサダーマーケティングとはどのような手法なのかについて解説します。
アンバサダーとは「大使」のこと
本来、アンバサダーとは「大使」の英語訳です。
そこから派生し、近年SNS上などで公募されるアンバサダーとは、企業の商品やサービスに対して強い愛着を持って情報発信しているファンのことを指しています。
例えば、ある化粧品メーカーの商品を長年愛用しているインフルエンサーに「公認アンバサダー」を委任し、実際の使い心地を投稿してもらうと、商品の認知度を高められます。
このように、企業のファンであるアンバサダーに広告塔になってもらうことを、アンバサダーマーケティングと呼びます。
注目される理由は「口コミ」への信頼
アンバサダーマーケティングが注目される理由は、インターネット上での購買活動では「 口コミ」に対する信頼度が高い点にあります。
インターネット上では、あからさまな広告は敬遠されてしまう一方、レビューや口コミは「本当の情報」として信頼されやすい傾向があるのです。
アンバサダーは、まさに実際に商品を愛用している一般人であるため、その投稿は口コミと同様に信頼されやすく、効率よく商品の魅力を伝えられます。
インフルエンサーマーケティングとの違い
ここまでの説明では、「インフルエンサーマーケティング」とどう違うのかと思う方もいるでしょう。
インフルエンサーマーケティングとアンバサダーマーケティングの最も大きな違いは、発信者の熱量です。
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーのフォロワー数などと影響力を重視して依頼者を選出します。
一方、アンバサダーマーケティングでは、企業や商品に対してしっかり愛着を持っているかどうかを重視して依頼者を決定します。
商品やサービスを実際に利用して心から良いと感じている人物に依頼することで、質の高い情報を発信できるのが、アンバサダーマーケティングのポイントです。
さらに、アンバサダー自身の満足度が高いことも、インフルエンサーマーケティングとの違いといえます。
もともと企業に良い印象を持っている顧客に「わが社のアンバサダーになってほしい」と声をかけると、アンバサダーは嬉しい気持ちから熱心に発信し、企業のサービスもさらに活用するようになるでしょう。
企業にとっても、アンバサダーにとっても、良い循環をもたらすマーケティング施策なのです。
アンバサダーマーケティングの3つのメリット
アンバサダーマーケティングには、業種や企業規模問わず、広い認知を獲得しやすいメリットがあります。
ここでは、主な3つのメリットをご紹介します。
[1]質の高い発信ができる
アンバサダーマーケティングの最大のメリットといえるのは、発信の質が高いことです。
質の高い発信とは、ユーザーに有益性を感じさせ、認知度を拡大させる力が大きいことを意味します。
アンバサダーによる投稿は、企業側の視点ではなく、いちユーザー目線からの視点なので、発信を見たユーザーからの信頼を獲得しやすい特徴があります。
例えば、企業の公式アカウントから発信される情報は、どうしても広告と捉えられてしまうため、商品の魅力をどれだけ伝えたとしても、信頼してもらえるユーザーの割合は多くありません。
アンバサダーは、一般の利用者の声として捉えられるため、信頼してもらえるユーザーの割合が高まる傾向があります。
アンバサダーマーケティングは、良質な発信で効果的に企業認知度を高められるメリットがあるのです。
[2]リアルなフィードバックを集められる
企業主体のアンケート調査などよりも、商品利用者の本音に近いリアルなフィードバックをもらえることも、アンバサダーマーケティングの大きなメリットです。
アンバサダーからの意見に加え、アンバサダーのフォロワーからの忌憚のない意見も同時に拾うことができるためです。
アンバサダーは企業の熱心なファンであるため、良い意見も悪い意見も伝えることで企業がより良くなることを望みます。
また、発信に対するフォロワーのコメントでは、企業に対する遠慮のない、率直な意見を集められるでしょう。
アンバサダーマーケティングは、企業がリアルなフィードバックを拾い上げられるチャンスでもあります。
[3]低いコストで広告できる
アンバサダーマーケティングは、さほど大きなコストをかけずに広告できることもメリットです。
一般的にインフルエンサーマーケティングでは、フォロワー数が多いインフルエンサーに依頼する場合、大きな予算を割く必要があります。
しかし、 アンバサダーマーケティングでは、企業のアンバサダーに任命されること自体に価値を感じてもらえるため、 大きな報酬がなくとも良質な発信をしてもらえる傾向があります。
例えば、新商品をいち早く利用してもらったり、企業イベントに特別参加してもらったり、 報酬以外のオプションでアンバサダーを引き受けてもらえることもあるでしょう。
アンバサダーマーケティングは、低予算でも熱心なファンを獲得できる可能性が高く、費用対効果の高いマーケティング手法です。
仮に失敗したとしても、予算的な痛手が少なく済むのも、挑戦しやすいポイントといえます。
アンバサダーマーケティングの2つのデメリット
さまざまなメリットがある一方、はじめにくいデメリットもあります。
ここでは、主なデメリットを2つ紹介します。
[1]アンバサダーを探すのが難しい
アンバサダーマーケティングのデメリットのひとつが、依頼するべきアンバサダー探しの難しさです。
質の高い発信ができるとはいえ、 あまりにもフォロワーの少ないインフルエンサーにアンバサダーを依頼しても、効果は期待できません。
企業の熱心なファンの中に、多くのフォロワーを抱えるインフルエンサーがいなければ、 任命するアンバサダーがいないことになってしまいます。
大抵の企業は、SNS上で何らかのプレゼントを条件に公式アンバサダー募集の投稿をして、フォロワーの中からアンバサダーを任命します。
中には単にプレゼント目当てで、実際には熱心な企業 ファンではない応募者もいるため、依頼者探しは簡単とはいえません。
[2]アンバサダー任せの発信になる
アンバサダーマーケティングでは、いち商品利用者であるアンバサダーの率直な意見の発信が重要であるため、 投稿内容に関する企業からの指示は、最小限にとどめることが一般的です。
そのため時には、的を射ていない投稿や、商品の良くない一面が発信されてしまう可能性もあります。
また、発信するうちに、アンバサダーの企業に対する熱量が下がってしまう事例もあります。
質の高いPRを長期間続けてもらえるのではなどの、過度な期待は避けましょう。
アンバサダーマーケティングの成功事例3選
最後に、アンバサダーマーケティングで認知を拡大することに成功した企業の事例を紹介しましょう。
成功例1:ネスカフェ
「ネスカフェ・アンバサダー」の耳に残るテレビCMを覚えている方も多いでしょう。
ネスカフェは、2012年9月より、オフィスにコーヒーマシンを無償で置くアンバサダーマーケティングを開始し、現在も継続しています。
マシンは無償でも、コーヒーを淹れるためのポーションカプセルは販売量が増えるため、企業にとって損はありません。
オフィスで働く人々にとっては、ドリップコーヒーを安価で飲めることから、ネスカフェに対する企業イメージが良くなります。
その結果、SNSで拡散されたり、オフィス以外でもネスカフェ商品を手にする機会が増えたりと、アンバサダーの満足度は高いまま、企業の売上アップにつながっているのです。
成功例2:ワークマン
近年、アウトドア向けの商品に力を入れているワークマンも、アンバサダーマーケティングを成功させた企業です。
ワークマンのアンバサダーマーケティングの成功のポイントは、金銭的報酬が支払われていないことです。
ワークマンの熱心なファンを選出し、商品をどう発信するかは完全にアンバサダー任せにすることで、かえって企業のファンを増やすことに成功しました。
現在は、 従来のような職人向けの商品ではなく、 SNSユーザーの意見を取り入れた、ファッショナブルで女性でも使いやすい商品展開に切り替え、大幅な企業拡大を叶えていることも注目できる点といえます。
成功例3:無印良品の家
無印良品の家では「ぜんぶ、無印良品で暮らそう」をキャッチコピーに、暮らし体験モニターを定期的に募集しています。
当選した1組は、完成した無印良品の家に2年間無償で住むことができるかわりに、無印良品の公式サイト上でブログ発信を行います。
2013年に初めて無印良品の家大使を募集した際は、5500件以上の応募を集めました。
この企画の特徴は、住まいだけでなく家具も提供されるうえ、生活用品を同社の商品ラインナップから専任アドバイザーと選べる権利が、アンバサダーに付与される点です。
無印良品の家と商品に囲まれたリアルな生活を、一般人のアンバサダーが発信することで、企業自体のイメージアップにつながっています。
2023年の4月から5月には、4回目の暮らし体験モニターが公募され、更なる注目があつまっています。
まとめ
アンバサダーマーケティングは、インフルエンサーマーケティングと同様に、SNSを活用した拡散力が特徴です。
さらに、インフルエンサーマーケティングにはないメリットとして、下記の3つの強みをも持っています。
- 質の高い発信ができる
- リアルなフィードバックを集められる
- 低コストで広告できる
これらのことから、さまざまな業種の企業が、SNS上でアンバサダーの公募をおこなっています。
SNSアカウントがありながら運用に悩まれている企業様なら、ぜひ試してみてください。